和歌山の税理士 尾崎敦のブログ
個人事業より会社の方が節税になる理由
2012年10月16日
ご覧いただいてありがとうございます。
こんばんは。
和歌山の税理士の尾崎です。
今回は個人事業よりも会社の方が節税になる理由のうち
社長の給料について以前の内容より詳しくお伝えしたいと思います。
はじめに、今回お伝えする内容は開業時よりも
個人事業で順調に利益がでてきた時に会社にした方が節税になるか
を検討する際(俗に言う法人成り)に重要視される項目になります。
また、わかりやすくするため社会保険の控除といった
細かい部分は省略しております。
実際に検討する際は別途計算していただくものとして、
ここでは節税になるイメージをつかんでもらえればと思います。
まず、給与にかかる税金の計算方法からお伝えします。
社長や従業員は会社から給与をもらいますが
給与の総額に対して税金はかかっていません。
給与では金額に応じて総額から
概算で一定額が経費として差し引かれて税金が計算されています。
(正確には「給与所得控除」と言います。)
たとえば年間の給与が総額で600万円の場合、
実際の支払額には関係なく
概算で174万円経費があったものとして差し引かれ、
残りの426万円が税金を計算する際の対象になる金額となります。
個人事業者の場合ではお金を使わなくても費用になるものとして、
届出を出して一定の要件を満たした場合に青色申告特別控除がありますが、
それは最大で65万円です。
以下に利益が年間600万円とした場合でお伝えしますと、
①個人事業者
600万円-65万円=535万円に対し税金(所得税)がかかる。
②会社(社長の給与を年間600万円に設定)
会社の利益 600万円ー社長給与600万円=0円
会社の税負担は均等割のみ(最低7万1千円)
社長個人の税負担 426万円に対して税金(所得税)がかかる。
①の金額と②の合計額を比較して②の方が税金が低くなる場合は、
個人事業よりも会社の方が節税になる結果となります。
上記のケースであれば税金だけを考えると
会社の方が税金は低くなるものと思います。
ただし、個人事業よりも会社の方がその他の費用は増えるため、
実際には上記の他に増加する費用なども計算に含めて
会社にするだけのメリットがあるかを検討することになります。
会社にした後に個人事業に戻すことも可能ですが、
その場合にも手間と費用がかかるため
検討する際には事前にシミュレーションを行い
慎重に判断するようにしてくださいね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
個人事業と比べて会社を選ぶデメリット
2012年10月14日
ご覧いただいてありがとうございます。
こんばんは。
和歌山の税理士の尾崎です。
今回は会社を選ぶデメリットについてお伝えします。
①赤字であっても法人住民税(均等割)の支払いが必要
都道府県や会社の資本金等にもよって金額は変わりますが、
和歌山県和歌山市では赤字でも最低71,000円の支払いが必要になります。
②健康保険と厚生年金の加入が強制される
一概にデメリットとは言い切れない部分はありますが、
従業員の分も含めて会社が社会保険料の約半分を負担することになるため
基本的には出費が多くなります。
③会社で稼いだお金を自由に使えなくなる
費用になるかどうかは別として
個人事業では稼いだお金を何に使ってもかまいませんが、
会社の場合には制限があります。
業務に関係のない個人的な生活費などを会社が負担した場合は、
基本的には給与、賞与といった扱いになり個人の社会保険や税負担が増えます。
④役員の給与の変更は決まった時期までにしないといけない
厳密にはデメリットというわけではありませんが、
役員の報酬は基本的に決算が終わってから3カ月以内に変更しないと、
差額部分は会社の費用にならない扱いになります。
たとえば、3月決算の会社が事業が好調なため10月に社長の給与を10万円増やしたとしても、
その10月から3月までの6カ月×10万円=60万円の差額部分は
会社の費用にならないことになります。
支払うこと自体はできますが、
会社の費用にはならなくても
受け取る個人の給与にはなるため、
個人が負担する社会保険や税金は増えることとなります。
③に記載した給与になるもので毎月発生しないものについては、
④の取り扱いで会社の費用には認められないことになります。
補足ですが、会社の業務に必要な支払か判断するのが難しいと感じられることが多いようです。
会社では費用にならないものを費用処理していたり、
逆に費用になるものを処理していないことがあります。
不明な場合は税理士に相談するようにしてくださいね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
税金面で個人事業より会社を選ぶ理由
2012年10月11日
ご覧いただいてありがとうございます。
こんばんは。
和歌山の税理士の尾崎です。
今回は個人事業と比較した際の会社の税金計算上のメリットをいくつかお伝えしたいと思います。
①最高税率は会社の方が低い
個人の税率は利益の額によって段階的に上がっていきますので、
利益が一定額以上だと会社の方が税率が低くなります。
ただ、状況にもよりますが開業時はあまり考えなくてもいい部分になるかもしれませんね。
開業1年目で多額の利益が出る予定なら別ですが、
そうでなければ利益が見込めるようになった段階で
個人事業から会社に変更すればいいと思います。
②損失を繰り越せる期間が個人事業より長い
事業の推移次第では会社の方が節税になる大きな要因の一つになります。
損失を繰り越せる期間は個人事業では3年間ですが、会社は9年間になります。
特に開業当初は出費も多く損失になりやすいものですが、
「計画では開業時の損失を回収するのに3年以上かかる」という場合は、
はじめから会社を設立することも検討された方がいいと思います。
③社長やその家族へ支払う給与等で節税することができる。
一例として退職金があります。
退職金は個人の税金の計算上優遇されています。
会社が社長やその家族に支払った退職金は会社では経費になりますので、
会社が負担する税金と個人(社長とその家族)の税金との合計額は
退職金を支払うことで減少するケースが多くなります。
④個人事業と比較し費用に認められる範囲が広い
一例としては、生命保険料が費用になることですね。
保険の契約内容にもよりますが会社の場合は保険料の全額が費用になることもありますが、
個人事業であれば経費ではなく生命保険料控除での取り扱いとなり限度額があります。
事業主の保険料の負担額は一般的に限度額よりも多いため、
差額分だけ会社の方が税金の計算上有利になることが多いです。
お伝えした中で開業当初から個人事業ではなく会社を設立することを決めることに
影響が大きいのは②の損失の繰り越せる期間でしょうか。
それ以外のものは基本的に個人事業での業績を見て
一定以上利益が出るようになった後に検討してもいい部分になるかと思います。
ご参考になれば幸いです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
会社と個人事業の違い(税金以外のもの)
2012年10月10日
ご覧いただいてありがとうございます。
こんばんは。
和歌山の税理士の尾崎です。
今回は会社(法人)と個人事業の税金面以外の違いについてお伝えします。
①開業手続きに関して
〇個人
税務署等に届出を提出するだけ。費用は交通費など以外基本的にかからない。
〇法人
設立のための登記が必要。登記費用はおおよそ25万円ぐらい。登記とは別に届出なども必要になる。
②事業の内容に関して
〇個人
原則としてどんな事業でも行うことができる。
〇法人
定款に記載した事業しか行うことができない。定款を変更する際は登記が必要になり登記費用が発生する。
③社会的信用に関して
〇個人
特殊な業界などを除いて一般的には法人に比べると劣る。
〇法人
一般的に個人事業者よりも有利。官公庁や大企業には個人事業では取引できないところもある。
また、人を採用する際も有利になることが多い。
④事業に対する責任
〇個人
無限責任。個人の全財産を使ってでも業者等への支払いをしないといけない。
〇法人
有限責任。法律上は出資分を限度に責任を負う。
補足として「事業に失敗しても、出資したお金が返ってこないだけで、
全財産をなくすことはありません。会社にする大きなメリットの一つです。」
というような内容が本によく書かれていますが、
銀行等からお金を借りた場合、基本的に社長は連帯保証人になることを求められます。
当然のことながら事業に失敗した場合は連帯保証人になっている借入の残額を
個人で支払わないといけないことになります。
法人が有限責任というのは事実ではありますが
どのような状況であっても個人に支払い義務がないとは思わないようにご注意ください。
ここまでの内容を簡単にまとめると、
基本的には法人の方が費用や手間は何かと必要になるため、
それを補えるだけのメリットがある場合は法人を選択し、
なければ個人事業で、といった感じでしょうか。
ここに記載している内容以外の判断要素については、
次回以降でお伝えさせていただきますね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。